こんばんは、数学がまともに理解出来たのは中学生までだったうめこです。
文系の貴方、数学って聞くとちょっと腰が引けませんか？うめこはもはや「ああ、別世界のものですね・・・」と完全に自分と切り離して考えていました。ただ、そうやって食わず嫌いだった数学ですが、これが映画だったり漫画だったり、ちょっとストーリーが加わると予想外に面白い！物語の力は偉大です。
ということで、今回はうめこの数学嫌いをちょっとだけ直してくれた作品をご紹介します。
文句なしの面白さ！数学の世界をわかりやすく解きほぐす『はじめアルゴリズム』（三原 和人 講談社）
これは本当に面白かったです。新刊が待ち遠しい、うめこの大好きな漫画です。物語に大きな波はないのですが、主人公の少年が数学を通して世界の広がりを感じていく様がとても爽快で、ワクワクする作品です。
物語は田舎から始まります。老数学者・内田豊は長年取り組む数式に悩みつつ、講演会のために地元を訪れていました。そこでふと立ち寄った今は廃校となった母校で、自分がかつて壁一面に書いた数式の中に、ところどころ誰かが非常に高度な式を使って書き足しているのを発見します。それは小学5年生の関口ハジメの手によるものでした。
まだろくな公式も習っていないのに、自分独自の数字と表現をつかって世界のしくみを理解しようとする少年に内田豊は並々ならぬ才能を見出して、彼を自分の元にひきとり、数学教育を施そうとします。
うめこの知ってる有名な数学定理の名前といったら「フェルマーの最終定理」ぐらいなのですが、第一話から次々と「ラグランジュの平均値の定理」だの「アーベルの定理」だの、なんだかよくわからないけど格好いい定理が出てきます。
この作品の魅力として、無垢そのものでただ「世界を知りたい、その手段として数学がある」という主人公ハジメと、老成した数学者である内田の数学や世界へ向き合った時の違いがあります。純粋に数学や数式が好きだったはずなのに、大人になるにつれ色々な不純物を抱え込み、数式を解いていくことに辛さを感じていく内田を筆頭とした大人達と、ただ、知らない世界を数学を通してつかんでいこうとする純粋な欲求に突き動かされて行動してくハジメ。どちらも立場にも非常に引き込まれるものがあります。
作品内でもわかりやすく数学の説明があるのに加えて、コミックスだと巻末に専門家による詳細な解説つき。ちょっと別世界をのぞいてみたいという方には、最適な数学入門だと思います。
主人公ハジメはもちろん、登場する大人達もとっても魅力的！数学だからって怖がらずに、是非！読んでみてくださいな。
落ちこぼれ大学生が数学に奮闘する『数字であそぼ。』（絹田村子 小学館）
先ほどご紹介した漫画とは打って変わって、こちらは数学マニアだらけの理学部の中でひとりだけ数学がよくわからない主人公が右往左往しつつ、自分なりのやり方で数字を理解していくコメディ漫画です。
子どものころから抜群だった記憶力のみで受験を生き抜いてきた主人公。ノーベル賞受賞者を多数輩出してきた名門大学に入学したものの、記憶力だけではやっていけない高度な数学の壁にぶち当たり、「今までの数学と大学の数学はちがう！」とあっさり挫折します。そしてポッキリと折れて大学を避けて休学しているうちに2年が経過し・・・とのっけから主人公の情けなさが全開です。
やっと大学に登校し、教授の働き掛けもあってようやく留年仲間を得て意気投合するものの、彼の留年理由はスロット依存であり、数学は大の得意。やはり自分とは違うのかと落ち込む主人公ですが、仲間の助けに支えらえられながらなんとか再履修の厳しい道を歩んでいきます。
ちょっと重そうな話にも思えますが、ずーっと軽快なコメディタッチで進んでいくので気軽に読める良作です！どうでもいいポイントかもしれませんが、登場する犬がやたらと可愛くてうめこのお気に入りです。
ユートピアとしての大学を描いている点では、名作『動物のお医者さん』（佐々木典子 白泉社）をちょっと思い出します。
「ベクトル空間」「集合と位相」など新しい数学の概念にぶち当たるたびに「もう駄目だ」「わからない！」と騒ぐ主人公には、「数学怖い・・・」と長年思ってきたうめこもとっても共感できました。
真剣に読み込むのではなく、寝転がってダラダラ読むのに最適な名作です！褒めてます。
数字であそぼ。（2） （フラワーコミックス） [ 絹田 村子 ]
おまけ。映画が面白かったので『アルキメデスの大戦』
【映画パンフレット】 アルキメデスの大戦 監督 山崎貴 キャスト 田将暉、柄本佑、浜辺美波、笑福亭鶴瓶、小林克也、小日向文世
白状しますとうめこはこの漫画は読んでおらず・・・映画を菅田将暉目当てで鑑賞したのですが、ストーリーがとっても面白かったのでおまけでご紹介です。以前ご紹介した株漫画『インベスターＺ』と同じ三田紀房先生が原作です。
巨大戦艦の建設を巡って二部する日本海軍。戦艦建設を阻止するために選ばれたのは、大学を中退したばかりの数学の天才でした。彼は戦艦、造船の知識が全く無い状態から、なんとか戦艦計画の不備を指摘するため、「測量と数学」を使って戦います。
正直、史実を取り扱った物語は観客も全ての結末を知っているという前提があります。それでも、そこに至るまでの過程を巧に紡いだ物語には始終ハラハラさせられました。 戦争の不条理さもしっかり描かれていて飲み込めきれないことも多いものの、歴史に抗うことの難しさを美しくまとめてありました。
漫画が現在も連載中らしいので、映画とは結末が違うのでしょうね。
数式の登場する演出はとっても格好いいし、同じメロディを繰り返すミニマル・ミュージックが理系の物語にはぴったりでした。
今回は数学漫画特集でしたが、いかがでしょうか。ちょっと世界が広がった気になれますので、食わず嫌いな方こそ是非！
ではでは。
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