戦後の引き揚げを生々しく、子どもの素直な視点から暖かく描いた作品。ちばてつや自伝漫画『ひねもすのたり日記』(小学館)感想!

こんばんは、うめこです。

最近、先輩にお借りしてアーサー・ビナード氏の『知らなかったぼくらの戦争』読んだのですが、これがとっても面白く、恥ずかしながらうめこは身近にある町のことすら何も知らなかったのだなーと痛感させられたのでした。

 
知らなかった、ぼくらの戦争
 

皆様、池袋サンシャインが巣鴨プリズンだったとご存知でしたか?!

うめこは知らずに、呑気に水族館だプラネタリウムだのと遊んでおりましたよ。東條英機が処刑されていた血生臭い場所だったなんて。まさに「知らなかったぼくらの戦争」。

その中でも印象的だったのは、漫画家ちばてつやさんの引き揚げに関するインタビュー。超大御所漫画家でありますが、うめこ、実は「あしたのジョー」はきっちり全部読んだわけではないのですよね。ちょっと主人公が苦手でして・・・

しかし、このインタビューと同時にちばてつやさんの自伝漫画「ひねもすのたり日記」を読んだことで、彼自身のファンになってしまいました。

 
ひねもすのたり日記 (第1集) (ビッグコミックススペシャル)

こちらはさっき述べたように、漫画家ちばてつやさんの自伝漫画です。戦時中の幼少期から漫画家になるまでの人生を丁寧に、子どものころの視点を忘れずに描いた作品です。ちばてつやさん一家は父親の仕事のため、戦前に満州に移り住んでいました。そこで終戦を迎え、家族と共に日本に引き揚げることになります。

引き揚げ(ひきあげ)とは、1945年(昭和20年)の太平洋戦争および日中戦争における日本の敗戦まで日本の植民地や占領地での生活基盤を有する一般日本人が、日本本土に戻されることをいう[1][注釈 1]。

Wikipediaより引用

すみません、引用先がWikipediaで。これ、大学の論文だときちんとした引用先として認められないこともあるそうですね。学生の皆様、要注意です!

この「日本本土に戻されることをいう」という表現には少し首を傾げてしまいます。うめこの知人には実際に引き揚げを経験した人といますし、ちばてつやさんの自伝を読んだ印象ですと「命からがら必死で日本に帰ってきた」という感じです。

父親の仕事のため、家族で満州に暮らしていたちばてつやさんの中国大陸での生活、終戦後日本へ帰る道中のこと、漫画家になるまでことがとっても暖かい絵柄と語りで描かれます。戦争の描写はシビアですが、その日常の中でも暖かさや楽しさを見いだしていた子どもの視点から素直に語られるので、悲壮感は比較的薄め。言葉の選び方や、表現から「とても優しい方なんだろうなあ」と想像してしまいまいた。

「日本鬼子(リーベンクイズ)」とは当時中国を侵略していた日本人への憎しみをこめた蔑称でありますが、そんな言葉が生まれるくらいの日中の不穏な環境下であっても、ちばてつやさんの父親が親しくしていた中国の方が一家を助けてくれる場面がありました。そんな人と人の繋がりの温かさや力強さを感じました。

 
ひねもすのたり日記 (第2集) (ビッグコミックススペシャル)

お恥ずかしながら、うめこは学生時代よりも社会人になってからの方が過去の戦争について学んだり、触れたりする機会が減ったように感じます・・・

『ひねもすのたり日記』はうめこの「知らなかった戦争」を少し減らしてくれたように思います。ちばてつやさんの現在の日常もちょいちょい挟まれますし、身構えずに気楽に読めるおすすめ作品です!

ではでは。





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