「不安とは、自由のめまいであるByキルケゴール」NHK夜ドラ「ここは今から倫理です」第2話 感想と紹介!(ネタバレあり)

こんばんは、うめこです。もうここんとこ寒すぎて、もこもこスリッパの数が激増しております。

今回のドラマ第2話「ここは今から倫理です」は漫画でもうめこのお気に入りだった「学校で眠くて眠くて仕方がないはざまくん」のエピソードです。

この作品は他人からすると何気ない小さな悩みやエピソードでも、「その人の内面にとっては非常に大切な転機でもある」ということを描くのが本当に巧みです。

まだドラマ化するかはわかりませんが、漫画#8「普通の人間」の自己認識についての話も素晴らしいので、是非映像化して欲しいです!

 
ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックス)

学校が眠いワケ

さて、第2話のメインとなるのは授業中居眠りばかりしているはざま。彼は高柳先生の授業だけでなく、他の授業でも居眠りしまくりで先生たちにしょっちゅう叱られています。とうとう「どう考えても眠れないでしょ!!」と突っ込みたくなるような椅子で円を作るスタイルで行った倫理の授業でも、爆睡してしまいます。

起きると、隣の席でじーっとこっちを見ている高柳先生。恐ろしすぎです。

しかも、「正直不快です」とストレートに間の授業態度についての気持ちを伝える先生。

余談ですがうめこがここでとっても感心したのは、流石高柳先生、怒っているときもそれを冷静に「Iメッセージ」で相手に伝えるんですよね。

「Iメッセージ」というの「私は〇〇です」と自分を主語に据えるメッセージのこと。

逆に「YOUメッセージ」というのは「あなたは〇〇です」と相手を主語にするメッセージ。

コミュニケーションにおいて、この「Iメッセージ」と「YOUメッセージ」を使い分けることが大切であるとよく言われています。

自分の気持ちを伝える時には「Iメッセージ」の方がスムーズになる場面は多くて、例えばお酒を飲んで失敗した家族に対して苦言伝えるとき

YOUメッセージの場合

もうこんなことしちゃダメだろう!

あんたさ、自制心が無さすぎるよ。

そんなんだから、失敗ばかりするんだよ。

熱く伝えようとするほど、相手の人格否定や命令になってしまうことが多いのが特徴です。

Iメッセージの場合

あんたのことが、とっても心配なんだよ

そんな姿をみるのがつらくて、苦しい。やめてほしいな。

主語があくまでも「自分」であり自分の思ったことを伝える形になるので、相手を上から責める圧力がかなり薄まる印象になります。伝える側も自分自身の感情を整理出来ます。

「何か授業中起きていられない事情があるのか」と理由を問う先生に対して、まあ、素直ではないお年頃。「あんたの授業がつまらないからだよ!」と間は去ってしまいます。

学校から帰っても、間の家には母親が返ってくる深夜まで誰もいません。一人で過ごすことが出来ず、夕食代に用意された二千円をつかんで間はいつも通りに夜遊び仲間と合流します。

てか、ドラマ観てて思ったんですが二千円で結構多くないですか!?うめこからすると、わりと贅沢できる金額です。いきなりステーキでも、リブロースが余裕で食べられますもん。

さて間が仲間と連れ立って騒いでいると、偶然高柳先生と遭遇してしまいます!しかし、この場面は笑ってしまいました。先生、何を食べ歩きしてるのー!最初、ふつーに不審者かと思いました。

間くんも先生に見つかったことにギョっとしたのか、またはうめこと同じく駄菓子屋で売ってそうなチューチューゼリー(正式名称を知りませぬ)を咥える先生にびびったのかわかりませんが、慌てて立ち去ります。

あとどうでもいいことですが、この後カラオケで歌っている場面、菅田将暉を熱唱する間くんのお友達が歌が無駄に上手過ぎです。しかも、中々いい声。

「毎日寝る時間がめちゃくちゃだから、学校は眠い」

間くん、そりゃそうですよ。うめこは寝不足にはとことん弱いので、理想の就寝時間は十時半。十二時は深夜だと思ってます。

次の日、前日感情的によくない言葉をぶつけてしまったこと間に謝罪する高柳先生。ちゃんと生徒に謝れる先生って、素敵ですよね。「あなたと話したい。対話を、したいんです」と先生は驚いたことに自分の携帯番号を間に渡し、「学校では話せなそうなので、夜遊びに行く前に思い出したら連絡ください」と続けます。ただし「一度でも悪戯電話してきたら二度と出ません」と無償の際限のない奉仕でなく、線引きをしっかりするのも高柳先生らしいですね。

しかも、この「対話」という言葉のチョイスがうめこ的に最高なんです!

会話でもなく、説教でもなく、生徒も同じ意見を尊重すべき相手として対等に話がしたいという先生の姿勢が表れた言葉でした。うめこの反省しなくてはならない場面が多々ありますが、時に大人はどんなに小さな子どもにも自我があり、自尊心があり、意志があるということを忘れてしまうことがある思うのです。

極端な例で申し訳ないですが、以前講演を聞きに行った性犯罪者の更生に尽力させている専門家の方の話では、子どもをターゲットにした性犯罪者には共通した認知の歪みがある傾向にあり、「子どもには自我がない」「されたことをすぐに忘れて覚えていないから、何をされてもダメージはないだろう」と思い込んでいることが非常に多いそうです。

ゾッとしませんか。

うめこの想像ですが、こちらに子どもの「〇〇したい」「〇〇したくない」という気持ちが伝わらない時。それはその子にそういう意思や希望がないからでなく、

・自分の気持ちを表現し、言語化することを学んでいる途中なのであり、うまくそれが出来ない。

・自分の中の気持ちを自己分析できない

のであって、決して気持ちがないわけではないと思うようにしています。もしくは、大人側が受け取れる準備が出来ていないことを見抜かれている、ですとかね。

そういう大人から子どもに対しての誤解が溢れている中だからこそ、「対話がしたい」と語りかけた高柳先生のすごさが際立つように思います。それから「かけるわけねーよ」と悪態をつきながらも、先生の電話番号が気になる間。

ついつい仲間にそのことを話してしまい、悪戯電話を勝手に掛けられてしまいます。だから、絶対そうなるから話ちゃだめでしょうが!ちなみにこのシーン、漫画だと「今、何してんのー あ、もしかして〇〇〇〇中?」と「ぎゃあー!」となるようなど下ネタの悪戯電話でしたが、ドラマだとさすがにマイルドになってしたね・・・

自由であることは、不安も同時に抱えていること

「とんでもない損をしたような、気がした」と翌日の学校で落ち込む間。もやもやが家に帰っても晴れません。暇を持て余して外へ繰り出そうと玄関まで行きますが「どうせ出ないよ」と諦めつつも、とうとう電話を掛けてみます。

この「出ないよなー」と期待しすぎないように自分に言い聞かせながら、コールを聞いているドキドキ感。ありますよねー、そういう気持ち。いつもと違うこと、はじめてのことに足を突っ込むときのドキドキ感ですよね。

そして何と電話に出てくれた高柳先生!最初は「何してんの」と他愛ない友達のような雑談から入ります。てか、ちょっと嬉しそうな間少年が可愛すぎますね。先生は電話をしながら『ローマの休日』を鑑賞中とのこと。間にも「映画観ましょうよ」とすすめてきます。

  
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先生に誘導されて、母親のDVDコレクションを物色する間。お母さん、明らかにミュージカルファンなラインナップですね!!先生はジーン・ケリーの『雨に唄えば』を猛プッシュしてきます。

 
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「行ってほしくないんですよ、こんな時間に外へ」と素直に自分の気持ちを伝える高柳先生。

「あなたはいま、きっと不安なのですね。キルケゴールの言葉に『不安は自由のめまいだ』というものがあります。あなたは自由だ。夜の街を好きに歩くことも、出たくない授業に出ないことも出来る」

「しかし何も、自分をそこに引き留めるものがなく、どこまでも飛べる自由さは、あまりにもどこまでいけすぎてあなたを不安にさせる」

この言葉を聞いた時、うめこは子どものころの夏休みを思い出しました。学校だと自分を縛る時間割があって、夏休みの宿題の量とは比べ物にならない課題をこなしています。が!その時間割から解き放たれて、自由に自分で時間配分してもいい状況になると、全部が自己責任になってしまうからグダグダになるし、「この進め方で大丈夫なのか?」と不安にもなるし・・・

自由を存分に有意義に使うためには、かなりの成熟した自制心が必要なんですよね。

ただ、話していくうちに一度悪戯電話が掛かってきたことを思い出してしまう先生。容赦なく「もう電話はこれっきりです」と宣告してくるのにドキリとしますが、大丈夫。「そのかわり、明日学校で映画の感想を教えてください。絶対に」と学校でもちゃんと繋がりがあることを伝えてくれます。

家に留まったおかげで、洗濯物や洗い物といった家の現状もちゃんと見ることが出来た間は、映画を見つつも家事まですませているという覚醒っぷり。家を自分の居場所として再確認出来たんだろうな、と思いました。

ひとりの高校生の小さな変化を描いた出来事なのですが、しみじみと味わい深い、いいエピソードだと思います。

また次回もご紹介していきたいと思います。

ではでは

 
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第1話感想はこちら!

→NHK夜ドラ「ここは今から倫理です」第一話 感想と紹介!(ネタバレあり)

第3話感想はこちら!

→教師と生徒の恋愛はありなのか?!NHK夜ドラ『ここは今から倫理です』第3話 感想と紹介!(ネタバレあり)

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