怖すぎるアメリカの医療制度・・・!海外ドラマ『ブレイキング・バッド』紹介とネタバレ感想

 
化学教師 ウォルター・ホワイト

こんばんは、うめこです。

今回は「エグ過ぎて親にも友達には決してオススメできない、しかし面白過ぎてぶっ通しで視聴してしまう」系の海外ドラマのご紹介です。

ざっくり説明しますと、「癌になった高校の化学教師が治療費と自分亡き後の家族の生活費を稼ぐため、化学の知識を生かしてイケナイお薬を作るお話
もう、前提からしてハッピーエンドを迎えられる気がしませんね。しかし、そこまでのネタバレはしません!見て欲しいので。

アメリカではかなり評価の高い作品でして、日本でもシリアスな海外ドラマがいける!という層には人気があるようです。これを見ていると、現代社会におけるアメリカと日本の文化の違いがわかります。生々しく。

まずは登場人物から。

主人公は化学教師ホワイト先生。
50歳で、物腰は柔らか。しかし昔はノーベル賞をとるような一流の研究に携わっていたため、化学の知識はピカイチ。役者はブライアン・クランストン。このパンツ一丁の彼ですね。ふざけてこんな恰好をしているわけではなく、ここに至るまでがちゃんと劇中で描かれます、ちゃんと。

そしてイケナイお薬作りのパートナーとなる、ホワイト先生の元教え子ジェシー。麻薬中毒者で、薬の販売ルートにも通じていたため、先生に協力することに。この子がいたお陰で、うめこは最後までこのドラマを見ることができました。馬鹿ですが、作品の良心。役者はアーロン・ポール。

season1のDVD パッケージを見る限り、なんだか半分コメディなんじゃないの?って印象を受けますね。実際、season1まではかなり肩の力を抜いて見ることが出来ます。

違法なお薬製造に足を突っ込む主人公と、身内とは知らずに追いかける全米麻薬取締局の義理の弟という、ある意味王道の人物関係まであったりします。

高校教師がアルバイトをする国、アメリカ

海外ドラマを視聴しますと、制作している国では当たり前のこととしてサラリと描写されている日常シーンに、ぎょっとさせられることがあります。

このドラマ、なんと主人公の高校教師ホワイト先生が放課後に洗車のアルバイトをしています。

ここで「え!」と思いませんか?日本だと、まずありえない。そもそも日本は副業とかに滅茶苦茶厳しそうですが・・・

調べてみたところ、アメリカの教師の給料は本当に低いらしいですね。2018年のネットニュースの記事ですが、16%の教師がアルバイトをし、離職率も高いとか。例としてアリゾナ州の2013年に雇用された教師のうち、実に46%が3年のうちに公立学校を離職しているそうです

学校教師によるストライキすら起こっている国なんですね。(ニュース記事にとびます)

余談ですが、日本では尊敬を受けている職業がアメリカではあまり待遇が良くない、というケースは他にもあります。うめこが驚いたことがあるのがフライト・アテンダント。日本でのイメージは語学堪能で優秀な方々がなれる憧れの職業ですが、アメリカのミュージカル『Company』では主人公がフライト・アテンダントの彼女が出来た時、周囲が「あなたにはふさわしい女性ではないわ」と文句を言うシーンすらありました。

ホワイト先生も息子と妊娠中の妻の生活のため、教え子に嘲笑されながら彼らの車を洗車しています。

そんなただでさえカツカツの生活をしているホワイト先生に降りかかるのは「肺癌による余命2年の宣告」。突然の「死の宣告」に茫然としながらも、気にかかるのは自分の死後、家族がどう生活していくのか。そこで偶然、麻薬捜査官をしている義理の弟から得た「麻薬が非常に高額で取引されている」という情報から、化学教師としての知識を総動員して極めて高品質な麻薬を作成することを思いつきます。

日本の私たちからすると飛躍がすごすぎますよね。

癌による余命宣告

家族に残すお金がない!

とにかくお金!

儲かるなら麻薬作ろう。

なんだかかなりの段階をすっ飛ばしてますよね。

こうなってしまう要因は二つありました。

ひとつはホワイト先生のプライドが高すぎた。実は彼が癌になったとき、麻薬捜査官の義理の弟やかつての研究仲間から援助の申し出がありましたが、「自分でなんとかする!」と突っぱねてしまいます。思えば、これが全ての始まりでありました。

もうひとつはアメリカの医療制度。

アメリカの前に日本について説明しますと、普段は意識することはあまりないですが、日本は「国民皆保険」または「ユニバーサルヘルスカバレッジ」とよばれる制度が採用されています。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage : UHC)とは、「全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」を指します。
 2015年9月の国連総会で定められた「持続可能な開発目標(SDGs)」のターゲットの1つとしてUHCの達成が位置づけられており、全ての人々が基礎的な保健医療サービスが受けられ、医療費の支払いにより貧困に陥るリスクを未然に防ぐことが重要であることが確認されています。

厚生労働省HPより引用

なので、余程の事態にならなければ、医療行為における破産というのは滅多に起こりません。先日、大野更紗さんの闘病エッセイをご紹介したときには「なんとかなりませんかね」と文句もつけてしまいましたが、穴はあるものの、全体としては非常に助かる制度です。

しかし、アメリカの医療制度は違い、わかりやすいほどの「個人主義」を貫いています。65歳以上の高齢者や透析や移植を必要とする方等、一部のアメリカ政府が運営する保険制度に加入できる人たち以外は、民間の保険会社に入ることになります。しかも、相当な保険料を支払わないととっさの医療行為に対して、満足な補てんが得られません。

調べたところ、虫歯一本の治療で700$ぐらい(保険から出た分を引いた実費で!!)したケースもあるらしいですよ。

日本円にしたら700×107.69(2019年7月3日レート)=75,383円!!!

ひどすぎる!

しかも、個人で加入している保険がどの病院で使えるか調べないといけないそう。つまり、A保険は○病院では使えるけど、△病院では使えない、てことが普通にあるらしい。なんて国!

この医療制度の問題については、ドキュメンタリー映画監督マイケル・ムーア氏の『シッコ』でも詳しく語られています。

ご興味があればこちらもどうぞ。かなり衝撃的です。

「まじかよコラだろ?と言いたくなるようなアメリカの桁違いな高額医療費」 http://karapaia.com/archives/52201341.html   カラパイアよりhttp://karapaia.com/ 

とまあそういう背景もあり、ホワイト先生は偶然再会した元教え子であり麻薬依存者のジェシーと手を組み、他に類を見ないような高品質の麻薬を作成していきます。しかし、闇社会がそんな二人を放っておくはずもなく・・・

登場人物紹介でも書きましたが、この教え子ジェシーが本当にいい奴なんです。薬物依存症ではありますが。 闇社会にどっぷり身をおいても、身知らずの子どもはちゃんと守ろうとするし、先生には誕生日プレゼントをあげちゃったりする。とにかく可愛い。でも、薬物依存症。物語が進むにつれ、ジェシーはいっそ警察に捕まっちゃった方が更正も早いだろうし、かえって幸せなんじゃないかなあ思ってました。

うめこはこのドラマと並行で『ウォーキングデッド』という同じアメリカ発のドラマにもはまっていたんですが、ハラハラ度は断然『ブレイキングバッド』の方が上でした。
『ウォーキングデッド』はウイルスによってゾンビ化した人間が世に溢れ、社会や秩序が崩壊した後の物語なのですが、こちらはもう法もルールも何もない状態。


ウォーキング・デッド コンパクト DVD-BOX シーズン1

守ってくれる存在はなくいつ惨たらしく死ぬのかわからない状態の『ウォーキングデッド』と、もちろん肉体の死の危険も身近にあるけれど、何よりも「社内的な死」から逃げまわらなくてはならない『ブレイキングバッド』
いやーな汗をかくのは後者でしたね。

『ブレイキングバッド』は SEASON5にて本編は完結しています。 本当に一貫して目が離せない、素晴らしいドラマでした。脇役も本当悪い奴ばかりなんですが、魅力的。うめこはサラマンカのインパクトが強すぎて、しばらくあのギョロ目が忘れられませんでした。ガスも素敵怖いし。

拙い記事でどれだけ魅力が伝わったかはわかりませんが、ちょっと日常からかけ離れたヒリヒリしたドラマが見たいと思った時には真っ先に思い出してみてくださいな。

ではでは!

 
ソフトシェル ブレイキング・バッド シーズン2 BOX(6枚組) [DVD]

ニューメキシコ州アルバカーキ。高校で化学を教えるウォルター・ホワイトは内気で温厚で、真面目すぎる50歳の男性。第2子である娘を妊娠している妻スカイラーや脳性まひを持つため杖が放せない高校生の息子ジュニアとつつましく暮らすため、放課後は洗車場でアルバイトをしている。ところが肺がんだと判明し、余命はわずか2年と宣告される。そんなウォルターの中で、何かに火がつく。ウォルターは自分が亡くなった後に家族が苦労しないよう財産を残そうと、ドラッグの精製という超ヤバい副業に手を出す。かつて一流研究者だったがなぜか高校教師に転じたウォルターは、そのディープな化学の知識を駆使して純度99.1%という驚異のスーパードラッグを生み出し、元教え子であるディーラー、ジェシーをパートナーにして闇のビジネスに乗り出す。

公式HPより あらすじ引用

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