
こんばんは、うめこです。
ちょいと前にNHK 放送の「サンドイッチマンの病院ラジオ」を知ったのですが、とてもいい番組だったので最初の回から見たかったなーと悔やんでます。
そして、とうとうこの番組で「依存症治療病院」を取り上げたんですよ(2月11日放送)。
しかも、舞台は久里浜病院!その界隈では最後の砦と言われる、依存症治療の最前線の病院です。
アルコール依存症はもちろん、ゲーム依存症等の様々な依存症と向き合う患者さんたちの飾らない生の声を聞くことのできる貴重な番組でした。サンドイッチマン二人の態度も落ち着いていて本当に安心できますね。過剰に引かず、押さず、同情したりせず、ちょうどいい距離で深刻な告白に耳を傾ける二人の姿に,よりファンになりました。
ド素人のうめこなりに、ずっと勉強していきたい研究テーマのひとつが「依存とどう向き合っていくか」なんです。うめこ自身の依存(前も言いましたが、ほんとスマホから離れるのがうめこの課題です)に対策をしていくのもちろんなんですが、「何かに依存している他者」との向き合い方も大切な課題として考えていきたいと思ってます。
うめこの個人的な意見なので恐縮ですが……日本って、本当に色々な依存に陥りやすい環境を、昔から育んできた国だと思うんです。
特に顕著なのがアルコール。
下戸のうめこが言っても説得力がないかもしれませんが、本当に本当にこの国はアルコール依存に甘い、むしろ「依存を奨励してる」節すら感じてます。完全に 「人に迷惑をかけるけど飲める人〉飲まない・飲めない人」ですもん。
うめこが実際に目の当たりにして戦慄したエピソードがございまして、とある人がアルコール依存症となり、病院に通院して治療をされていました。その方と今後のことをどうするか面談することになった人達が面談場所に選んだのがまさかの居酒屋!!!
仰天して「なんでわざわざ居酒屋で会ったんですか?昼間のカフェじゃダメだったんですか?」とうめこが尋ねると、面談する方々は首を傾げて「私たちも一緒にいるし、ちょっとぐらいいいじゃない。そもそも、その人もちょっと朝お酒を飲んで出社しちゃって、お酒を飲むことぐらいしか楽しみが無くなってしまったっていう程度なのに、通院なんて大げさだよねー」と、おっしゃいました。
日本の依存症に対する認識はまだまだヤバいんだなあと痛感した出来事でした。
海外と日本のアルコール依存性に対する考え方の差に愕然としたのが、うめこの神様、アメリカの小説家スティーブン・キングの作品、『ドロレス・クレイボーン』でのアルコール依存者の描写なんです。
ざっと作品を説明しますと、仕事に育児にワンオペで頑張りまくる母親ドロレスが、アルコールに溺れ、暴力をふるい、とうとう大切な娘に性的虐待をしたダメ夫を始末するために完全犯罪を試みる……!というお話。余談ですが、スティーブン・キングはDV に立ち向かう女性を取り上げることが多いような気がします。それも、女性から見ても共感し、応援したくなるような女性描写なんですよね。
すみません、キング愛故に説明が長くなりました。
そのドロレスの敵である変態暴力ド底辺のクズ夫。このクズ夫ですが、一応、アルコール依存治療に通うシーンがあるんですよ!!
アメリカのアルコール依存治療に対する敷居の低さを感じたエピソードでした。庶民のクズ夫ですら、成功はしなかったけれどきちんと「アルコール依存は治療すべきもの」という認識をもって行動していたという驚き。
アメリカはフォード元大統領夫人がアルコール依存性を公表し、かつ、治療のための施設や制度を作るために尽力したという過去があり、日本よりもよりアルコール依存性への知識と治療しやすい環境が一般にも整っているということも大きいです。同じ境遇の人たちが集って互いの体験や気持ちを共有して治療していく「自助グループ」もとても盛ん。
日本は精神的不調や病気を認める=社会的な死 というとても古くて根拠のないカビの生えた意識がまだまだ根強く、軽度の時に向き合えば良かったのに、にっちもさっちもいかなくなるまで放置して、重症化するケースが多いように感じます。

アルコール依存性も同様で、「この程度の失敗で騒ぐなんて大げさ☆」と目をそらしている依存性予備軍(すでに治療すべきレベルも含む)がメチャクチャ多いのではないか……と危惧しています。
キツいことをいいますと、
一度でもアルコール摂取により自己コントロールを失ったことがあるなら、それは既にアルコール依存性予備軍であると、みなすことも出来るとうめこは考えています。
泥酔して電車を降り損ねた
人前で我慢しきれずに吐いた
暴言を吐いて喧嘩になった
玄関で眠ってしまい自力でベッドにたどり着けなかった
寝る前に少量でもお酒を飲まないと、ぐっすりと眠れない
それは、すでに自己コントロールから外れているということなんです。
上記のことを平常の状態でやったら、大問題ではないですか?二番目はよっぽど別の身体的不調があったときは別ですが・・・
それを「アルコール摂取してたなら、仕方ないね☆」で済ませられてしまう環境は依存性治療に必要な「底つき」をどんどん先送りにしてないか!?とうめこは憤りを感じています。
※「底つき」とは、依存症者が依存行動によって社会的地位や人間関係を失い、依存症を自覚せざるを得ない状況に落ちること。使用しただけで罪となる薬物依存症では「逮捕」がこの「底つき」であること多いですが、アルコール依存症・ゲーム依存症・性依存症の場合はその依存症から派生する問題行動による社会的地位の損失・人間関係の破綻から起こることが多いようです。
もっと依存症への対策を含む、様々なメンタルケアへの敷居が下がれば……というのがうめこの強い願いです。
最後に、参考コーナーです。
⇒集英社「週プレニュース お酒大好きパックンが語る「アルコール依存症」の日米文化論。なぜアメリカは大っぴらに告白できるのか」
この記事、とっても良かったです。アメリカと日本のアルコール依存症に対する姿勢の違いがよくわかります。
⇒『よくわかる 依存症 (こころのクスリBOOKS)』(榎本稔 主婦の友社)
「病院ラジオ」の舞台となった久里浜病院と並んで、依存症治療で有名な榎本クリニックの理事長による一冊。症状や家族の対応について、わかりやすく解説してます。入門編としておすすめ。
⇒ 『だらしない夫ではなくて依存症でした』(三森みさ 時事通信社)
漫画でじわじわと「あれ、うちの家族おかしい?」というアルコール依存症の怖さを描く、とってもわかりやすい作品。
読み物としてもとっても面白いのですが(なんとWEB版は無料!)厚生省が監修しているので、精神医学的な土台もしっかりしています。書籍版も発売してます。
⇒ 『マンガでわかる心療内科 依存症編(酒・タバコ・薬物)』(ゆうきゆう 少年画報社 )
もうひとつ、参考漫画。結構有名なシリーズの中の一つですね。現役バリバリの精神科医の先生が原作を書いているので、一見かなり軽そうなギャグ漫画ですが、医学的な情報ばばっちり!
マンガで分かる心療内科 依存症編(酒・タバコ・薬物)(1) (ヤングキングコミックス)
⇒そして、「何とかしたい」「これって大丈夫?」と行動を起こしてみたい方へ。
全国には「精神保健福祉センター」という公的機関があります。ここは鬱や統合失調症などの精神的な疾患の相談や、薬物・アルコールなどの依存症についての相談や社会復帰への支援を行っています。それぞれに地区のセンターには相談窓口もありますから、自分のこと、家族のことなど、不安に思うことがあればこちらに相談してみることをお勧めします。
うめこの周りにも、実際に依存病院に入院された方、予備軍としか思えない方、あらゆる人たちがいます。でも、「心配だな・・」と思ってもうめこから踏み込むことは中々できません。依存症は当事者が中々認めない「否認の病」とも呼ばれています。つまり「自分で自覚すること」が全ての始まりでありますから、うめこから出来ることはなんて少ないんだろうと無力さをいつも感じています。
どうか「自分は絶対に関係ない」「遠い世界のこと」であると思わずに、 せめて、この記事や参考にした書籍・WEBを何となく読んでもらうことからでも、「依存症」って意外と身近なんだなってことを知ってもらうだけでも、それは大きな一歩であると信じています。
ではでは。

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