本気でおすすめしたい漫画『モブサイコ100』(作:ONE 小学館)

こんばんは、うめこです。

※アイキャッチ画像は作品と関係ありません・・・

今回語りたい漫画は『モブサイコ100』

 
モブサイコ100(1) (裏少年サンデーコミックス)

うめこがもっともっと、それこそ海賊王並みに布教出来ないかと思っている作品です。
「何言ってんの、二回もアニメ化してるし、超メジャーじゃん」とおっしゃるあなた。是非、うめこのお友達になってください。そして一緒に語り合って下さい。

確かにアニメ化もしているしそれも素晴らしい出来だったりしているのですが、いかんせん、身近に知る人がいないんです。しかも、読んでみて!と漫画好き仲間に押し貸ししても「うーん、続きはいいや」と反応が微妙なんですよ・・・あ、そういえばドラマ化もしてるんですよ! 

というわけで私は大好きなんですが、友人曰く絵がハードルになっているらしいです。うーん、微妙な感情変化の描写ですとか、戦闘シーンの迫力とか、本当に作画も素晴らしいと思うのですが、ここは好みが出るところですね。

『モブサイコ100』ってこんな漫画

作者は『ワンパンマン』(集英社)の原作者で有名なONE氏。web に掲載していた漫画が話題となり、デビューに繋がったという経歴の方です。
うめこはむしろ有名な『ワンパンマン』はいつか読んでみたいリストに入っていものの、まだ手を出せていません。すごく面白いと周りでは評判の作品ですね。

まずはざっとご紹介いたします。

フツーの青春に憧れる中二の少年影山茂夫(通称・モブ)には特別な力があった。それは・・・「超能力」!!!インチキ霊能力者、怪しい宗教団体etc.彼の力を利用しようと様々な人が集まり始め少年・モブの中で「何か」が動き出す!!衝撃のサイキック青春グラフティ、開幕!

『モブサイコ100 第1巻』作者:ONE 小学館 裏表紙より引用

↑基本はそういう作品です。ものっすごい超能力を持った中学生の男の子が、その力を使って事件を解決していきます「なんか今までもありそうな話じゃん」というご意見がありそうですね。ここから、『モブサイコ100』のここがすごい!をご紹介していきましょう。

『モブサイコ100』の心理描写がスゴイ!

この作品を、うめこは「主人公モブとその身近な人たちが、今までの自分を乗り越えて自己肯定を得ていく話」だと思っています。超能力による派手なバトルもありますし、むしろそれが大半なのですが、根本にあるのは「自己肯定」にたどり着くための物語であるように思えます。

まず、主人公のモブからして一貫して超能力に興味を持っていない。むしろ、全然自分に自信がない。超能力以外の何かで自分を好きになりたいと言って「肉体改造部」なる筋トレ部に飛び込んで、貧血で倒れながらも必死に筋トレに励んでいます。この部の面子に限っては、部長を筆頭に登場時から精神的に達観している人格者ぞろい。超能力漫画なのに、筋トレに励むマッチョ達が最初からこの作品の頂点として描かれているのが面白いです。

この作品で描かれる心理的描写は素晴らしいものが沢山あるのですが、中でもうめこが驚いたシーンがあります。

なるべくネタバレをしないようざっくりと説明しますと、とある不良生徒が無実の罪を着せられて、周りから責め立てられてしまったというエピソードがありました。後々、この不良生徒が犯人に対して告げた言葉がすごかったのです。

俺が本当に犯人かどうかなんて、関係ねーんだ。ただ材料があれば、それに乗じて皆で俺を追い出す空気があった・・・問題はそこだ。俺は元々・・・周りから死ぬほど嫌われていたって事に気づいたぜ。そして、自分の心の脆さも。周囲の目に対してあんなに打たれ弱いなんてな・・・

『モブサイコ100 第6巻』作者:ONE 小学館 140~141頁より

悪意のある誰かにされた事よりも、自分の課題がこれだけ元々存在していたということ、そしてお前らに構っているいられない、自分は成長する!と宣言する不良生徒。これ、本当にすごいことだとうめこは思うんです。普通、濡れ衣を着せられることなんかがあれば相手を責めることに全エネルギーを使ってしまうんじゃないかと思います。しかし、そんなことよりも事件の中から「努力して変えられる自分の課題」を見つけて、省みる姿勢。脇役までしっかり成長をする姿が描かれているんです。この不良の考え方って、アドラー心理学の「課題の分離」に通じるものがあるのかなと思ったり。

『モブサイコ100』子どもと大人の役割

今までの漫画ですと「特別な力を持った子ども」が中心の作品の場合、大人は「子どもの持つイレギュラーな力の前では無力であり、力を持った子どもを頼り、助けられるもの」として描かれることがとても多かったとうめこは思います。これは、日常だと威張って小言ばかり言ってくる大人達が「特別な力」の前ではその役割を転じ、「特別な力の子ども」に助けられる存在となることで読者が得られる爽快感が重視されていたからなのではないかと推測します。

モブサイコでも「特別な力を持つ子ども」であるモブを様々な大人が頼ってきます。その最たる人物が「自称霊能力者」でモブの師匠である霊幻れいげんです。彼は「特別な力を持っていない大人」のまさに象徴として描かれます。自分は力を持っていないのに、さも持っているようなふりをしてモブをこき使っています。と、こう説明すると滅茶苦茶嫌な奴に聞こえますが、この霊幻れいげんは『モブサイコ100』のもう一人の主人公とすらうめこは思っています。それだけ、複雑で魅力的な大人なんですよね。てか需要についてはわかりませんが、彼についての評論だけで丸ごと1記事使いたいくらい・・・

低賃金でこき使っているものの、霊幻れいげんは作品中一貫してモブを「子ども扱い」しているところが、従来の「特別な力を持つ子ども」の物語とは一線を画しています。弱い敵と対峙したときにはモブに頼りっぱなしなのに、本当に危険だと判断したり、モブが辛そうなときには「お前がやる必要はない。大人に任せて逃げろ」とさらっと言うんですよね。「特別な力の子ども」の物語なのに、「大人と子どもの役割」を反転させていない。ここがONE先生の本当に凄いところだと思います。

ちょっと他の作品の紹介を挟ませていただきますと、吉田秋生先生の『海街diary1 蝉しぐれのやむ頃』(小学館)でこんなシーンがあります。

場面はお葬式。夫の死を受け入れきれない妻が、継子である中学生の少女に「自分はとても出来ないから、出棺の挨拶を喪主の代わりとしてやってくれ」と提案します。周りの大人も「彼女はしっかりしているから大丈夫だろう」と賛成する。

そこで、主人公の一人(4姉妹が主人公の作品なんです)が反対します。

これはおとなの仕事です!

~省略~

おとなのするべきことを子供に肩がわりさせてはいけないと思います。

~省略~

子供であることを奪われた子供ほど哀しいものはありません。

『 海街diary1 蝉しぐれのやむ頃 』作者:吉田秋生 小学館 46~47頁

 
海街diary 1 蝉時雨のやむ頃【電子書籍】[ 吉田秋生 ]

作品の種類は全く違うものの、きちんと「子どもを子どもとして扱う」ことの大切さが描かれているシーンです。

完結後の現在はスピンオフ『REIGEN』連載中!

駆け足でご紹介いたしましたが、まだまだ魅力を全部語り切れてません。少しでも気になっていただけた方がいらっしゃいましたら、こちらが小学館の公式ページです。無料のお試し読みができますので、是非!

補足説明ですが、『モブサイコ100』は既に全16巻で完結しています。しかし、うめこと同じように霊幻れいげん好きがいっぱいいたのか、現在は彼が主人公のスピンオフ『REIGEN』が小学館のマンガアプリ・マンガワン にて連載中です。

ご紹介しながら、うめこもまた読み返したくなってきました。「絵が苦手」といううめこの友達のような方はアニメもとても良かったので、こちらから入っても十分楽しめると思います。

 
モブサイコ100 Volume 001【Blu-ray】 [ 伊藤節生 ]

ではでは。

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